Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident


Draft document: Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident
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1 (B3)「2011年3月15日までに約78000人の住民が20km圏内から避難を完了した」とあるが、すべての住民ではないため、「一部の住民を除き」などの追記が必要である。

2 (B5)ヨウ素剤による甲状腺のブロックが一様に実施されなかった理由として、「政府と県の間で詳細な取り決めがなされていなかった」とあるが、ヨウ素剤を配布された住民においても、3割が服用しなかったという調査結果がある(2018年12月10日「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30535265 )。研究チームの西川佳孝医師は「今後は、ヨウ素剤の効果や副作用、内服方法などを事前に十分説明しておくことが必要だ」とコメントしていることからも、ヨウ素剤による甲状腺のブロックが一様に実施されなかった理由を「政府と県との取り決めの不足」だけに限定すべきではない。ヨウ素剤の存在や意味を初めて避難所で知った住民からは、「避難の混乱の中で、安全性が分からないために、子どもに飲ませない選択をした人がいる」という証言もあり、そもそも存在も意味も知らされていなかったという記載が必要である。

3 (B10)緊急時対応者の防護が十分でなかったことの理由として「主に適切な防護手段が利用できなかったことと訓練が不足していた」とあるが、地元消防の証言によれば、訓練はされていたが、「事故は起きない」という前提で訓練が行われ、地元消防にはヨウ素剤の備蓄すらなかった事実がある。また、訓練では担当していなかった活動も行なった。将来の事故おいて同様の問題が起こらないよう、緊急時対応者の防護のために、防護について事前の周知徹底と、訓練のあり方にも言及すべきである。

4 ドラフトが「事故」を想定しているのに対し、日本政府はこれまで、「事故は起きない」という前提で原発を動かし、「事故は起きない」と周辺住民およびすべての国民に広報し、緊急時の防護について準備と広報を怠っていた点は、ANNEX Bに記載する必要がある。1〜3は、そのことに起因する。

 

5 福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)の「原発事故の被災者への影響」と重複するが、(B37)「被災地に止まるか帰還するかといった問題」という問題設定が、「避難を継続する」という人々を見えなくしている。ANNEX B全体を通して、「避難者」への視点に欠けている。

「避難」区域や「屋内避難」区域のはるか外側にも原発事故の被害が発生する事実を強調したい。それを前提に、「避難」「屋内退避」が指示される区域の外側にある被害地域(一般公衆の被ばく限度1mSv以上の地域)にも新たな呼び名を付け、その地域にも「避難」「居住」「帰還」を自らが選択でき、それぞれが政府から十分な防護策と支援策が得られるよう、提言に付記すべきである。

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